※ファイナンシャルプランナー
無理な節約は“リバウンド”のもと!?
節約はダイエットと同じ。無理は禁物です。我慢がたたって、しまいには爆買いしてしまう“リバウンド”を引き起こしかねないからです。
賢い節約は、「時間」を味方にして消費意欲をコントロールし、メリハリのあるお金の使い方をするのがポイント。今回は、とっておきの3つの節約方法をご紹介します。
一般的なサラリーマンの生涯収入は、大卒男性でおよそ2億7,000万円、女性で2億2,000万円です(※1)。さて、この金額を一括でもらったことを想像してみましょう。気が大きくなって、欲しいものをどんどん買ってしまわないでしょうか。海外の一流スポーツ選手は生涯賃金が10億円を超えるというのに、引退後、生活に四苦八苦しているという話しもよく聞きます。
私たちは意外に、長期間を見通し、計画を立ててお金を使っていくのが苦手なもの。ですから、「短期間」にわけて使えるお金の額を割り振ることで、計画的にお金を使えるようにしましょう。
おすすめの方法は、お給料日がきたら、銀行から自動引き落としになっているおおよその額を差し引き、残りの生活費を5週に等分して考えます。現金決済が多い人は、あらかじめ5つの封筒に1週間分の生活費を分けて入れておいて、週ごとに管理。カード決済がメインの人は、1週間の使える額を頭に入れて、週ごとに使った額を確認するようにしましょう。
※1:(出典)労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2016」、学校卒業後ただちに就職し、60歳までフルタイムの正社員の場合
「タイムセール」「先着〇名様限り」といった広告を見て焦って買ったのに、時間が経ってみると、それほど欲しいわけでもなかった…と思った経験はありませんか?
こうした広告は、アメリカの理論経済学者であるライベンシュタインによって提唱された「スノッブ効果」を利用した手法。この価格で手に入れるのは難しいと商品の希少性を思わせることで、購買意欲を刺激するというわけです。
販売には、こうした心理的に錯覚を起こす手法が多く用いられています。目を覚ますには、冷静になる時間が必要。そこでおすすめしたいのが、欲しいものは、一旦、自分の「欲しいものリスト」に入れ、1週間~1ヵ月様子を見るという方法です。スマートフォンのメモ機能で「欲しいものリスト」を記録してもいいですし、ついポチっと注文しがちなインターネット通販には欲しいものを記録しておく機能が備わっていることもあるので、これを利用してもよいでしょう。
いくらセールで安く手に入っても、欲しくないものを買うのはお金の無駄。買う時は、「長期間」考えて、冷静になって吟味することをおすすめします。
もうひとつの方法は、「一定期間」経ったら、お金の使い方を見直すというものです。見直しには、家計簿が有効ですが、面倒で挫折してしまった…という人も多いのでは。
家計簿をつける目的は、あくまでも「使ったお金」に無駄がなかったかを振り返り、同じ失敗をしないようにするということ。ですから、すべての支出を記録しようと思わなくても大丈夫。長続きしない人は、無駄遣いの傾向を知るためだけの「ピンポイント家計簿」に挑戦してみてください。
「ピンポイント家計簿」で管理するのは、自分が無駄遣いしそうだなと思う品目だけ。例えば、趣味費、おやつ費、日用品費…といった具合に、自分の生活を振り返り設定してください。レシートを読み取ってくれる家計簿アプリを利用したり、レシートそのものを保存しておいたり、クレジットカードなどの利用履歴を活用したりすると、記録に労力を使うことも省けます。
それでも続かない!という人は、とりあえず毎年、1ヵ月分だけつけてみましょう。要は、「一定期間」ごとに、「使ったお金」を客観的に振り返り、次に“生かす”ことができればいいわけです。
ちょっとした工夫で、だれでも節約上手になれるもの。メリハリのあるお金の使い方を普段から心がけて、生きたお金の使い方をしたいですね!
1967年神奈川県横須賀市生まれ。新聞社で生活経済記事を担当しながら、日本FP協会認定ファイナンシャルプランナーの資格を取得。出産を機に退社後は、家庭経済の記事を新聞や雑誌に執筆。講演活動も精力的に行う。全国の学校行われている授業「カレー作りゲーム」の考案者。東京都在住。一男一女の母。
文部科学省 消費者教育アドバイザー