思わずうなずく
お金のはなし

第3回

外貨建て金融商品を活用した資産運用とは

皆さんのお財布を覗いてみると、どこの国の通貨が入っていますか?
お給料として受け取る時も、買い物等で支払う時も日本円を利用するのが一般的ですので、日本円しか入ってないというのが一般的な日本人のお財布ではないでしょうか?
しかしながら、資産運用の分野では、日本円を別の国の通貨(以降、外貨と呼びます。)に換えることが珍しくありません。 円を外貨に換えて運用する金融商品のことを「外貨建て」の金融商品と呼びます。
今回は、外貨建ての金融商品を活用した資産運用について解説します。

step1

外貨建ての金融商品の優位点とは

そもそも外貨建ての金融商品を活用する意味は、どのような点にあるのでしょうか? ご存じのとおり、2016年1月からのマイナス金利政策もあり、日本は超低金利時代に突入しています。 2022年3月現在のメガバンクの普通預金の金利は、0.001%となっており、「銀行に預金していても利息が付かない……」こんな風に感じている方も少なくないかと思います。

一方海外に目を向けてみると、日本よりも金利の高い国も珍しくありません。 外貨建て金融商品は、金利という点では優位性があるという事ですね。 金利が低い商品と高い商品とがあった場合、単純に金利が高い商品を活用したほうが有利なので、最近では外貨建ての金融商品に注目する方が増えてきているようです。

step2

外貨建て商品の注意点

金利の面では魅力的な外貨建て金融商品ですが、注意するべき点もあります。 代表的な注意点は、「為替手数料」と「為替レート」の2点です。

まずは、「為替手数料」についてです。 海外旅行が好きな方は、両替をイメージしてください。 出国時(日本円→外貨)と帰国時(外貨→日本円)それぞれ両替をしますが、両替には手数料がかかります。 日本円を外貨に換える際はもちろん、最終的に日本円に戻さないと日常生活で利用できません。そのため最終的には、外貨から日本円に換える必要もあります。

つまり、外貨建て金融商品を利用する場合は、往復(2回)手数料が発生するという事ですね。 「日本円より金利が高いから」といって、安易に飛びつくと為替手数料で損をしてしまう可能性もあるという事です。

次に、「為替レート」についてみていきましょう。 為替レートとは、円と外貨の交換比率を指しますが、外貨建て金融商品はその影響を強く受けることになります。 為替レートは日々変動しています。 外貨建て金融商品の購入時と比べて、損になる場合(為替差損)と、得になる場合(為替差益)とがあります。 仮に1ドル=100円の際に、100万円分外貨を購入したとします。 為替手数料を無視して考えると、1万ドル分の外貨を購入することができます。 その後1ドルが90円になっていたとすると、日本円に換算した価値は90万円です。(10万円の為替差損が発生しています。) 逆に1ドルが110円になっていたとすると、日本円に換算した価値は110万円となります。(10万円の為替差益が発生しています。)

このように、必ずしも不利になるとは限りませんが、外貨建て商品は為替レートの影響を受けるという事は絶対に理解しておく必要があります。 日本よりも金利が高いという事もあり、何年か保有していると、外貨としては購入時より増えていることが一般的です。 しかしながら、最終的に円に戻した際には目減りしてしまったという事は十分に起こりえるということですね。

単純な外貨預金に加えて、外貨建ての保険など様々な外貨建て金融商品があります。 エネルギーなど輸入がメインのわが国では、日常生活でも為替の影響は無視できません。 こうしたリスクヘッジの面からも外貨建て金融商品を検討することは一つの選択肢といえそうです。 注意点を理解したうえで、外貨建て金融商品もチェックしてみてはいかがでしょうか?

監修
平原 直樹
ブロードマインド株式会社
マーケティング部 ゼネラルマネージャー
ファイナンシャルプランナー

東京都出身。 立教大学社会学部卒業後、東証一部上場のIT企業に勤める傍ら2006年FP資格を取得。 「資産形成」「退職金運用相談」を専門とし、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。その他相談業務やコラムの執筆等幅広く活動。趣味は、海外(貧乏)一人旅。海外40を超える国と地域を訪問。現地のお酒を飲みながらサッカーを見るのが至福の時。旅行中にも現地の銀行金利や不動産価格を欠かさずチェック。