思わずうなずく
お金のはなし

第4回

外貨建て保険について

2021年の春には110円を切っていた米ドルですが、2022年の春には130円近くまで円安が進んでおります。第3回のコラムでもご紹介したとおり、外貨の価値が上がっている状態です。
こうしたことから、外貨建ての金融商品に興味を持つ人が増えています。
今回は、外貨建て金融商品の中から、外貨建て保険に関してご紹介します。

step1

そもそも外貨建て保険とは

外貨建て保険は、文字どおり外貨建ての保険商品です。そのため、通常の保険商品同様、万が一の事態に備えるための金融商品となります。多くの外貨建て保険では、保険料を外貨で払い込み、解約時の返戻金や万が一の保険金を外貨で受け取ることになります。
とはいえ、外貨を持っている方はそれほど多くありませんので、実際には支払/受取とも日本円から外貨に換金して行うことが一般的です。仮に毎月払いの商品だった場合、日々為替レートは変動しますので、円ベースでの支払額は毎月変動します。
外貨建て保険には、さまざまな種類がありますが、死亡時に給付が受けられる、いわゆる「生命保険」がスタンダードな商品になると思います。他には、将来年金代わりに受け取れる「年金保険」も外貨建て保険では人気な商品です。それではなぜ、「生命保険」や「年金保険」が外貨建てで人気なのでしょうか?

step2

外貨建て保険の特徴

外貨建て保険は、日本と比較すると金利が高い国の通貨で運用している点が魅力的です。保険会社は、将来の保険金支払に備えて、契約者が支払う保険料から一定額を積み立てしています。このお金に関しては、より増えるように運用をしています。
この際の運用利回り(予定利率)は、保険料や保険金などに影響を及ぼします。当然この利回りが高い方が保険としては魅力的な商品を作ることができますので、日本より金利が高い外貨を利用する外貨建て商品は優れた一面を持つことになります。
仮に円建ての保険と外貨建て保険が同じ保険料だったとすると、外貨建て保険のほうがより高い保険金(多くの保障)やより多くの解約金を得ることができます。もちろん実際には外貨建てと円建てで同じ保険料になることは現実的ではなく、単純に外貨建て保険の方が有利とはいえません。
とはいえ、金利の面から考えると、保険を検討している方は外貨建て保険もあわせてチェックすることをおすすめします。
外貨建て金融商品を利用する場合は、往復(2回)手数料が発生します。 「日本円より金利が高いから」といって、安易に飛びつくと為替手数料で損をしてしまう可能性もあります。

step3

外貨建て保険を検討するためのポイント

前述のとおり外貨建て保険は、支払(保険料)や受取(解約金、保険金)とも円ベースでは為替の影響を受けます。そのため、支払、受取とも余裕を持った条件で検討するのがポイントです。
例えば、毎月の支払に関して考えてみましょう。本コラム執筆時(2022年5月)現在、1ドル130円近くまで円安が進んでいますが、1年ほど前は110円程度でした。 仮に毎月の保険料が100ドルだった場合、1年前は11,000円程度でしたが、現在では13,000円近くまで円ベースの保険料が上がっていることになります。この変動額が耐えられる範囲内で検討しないと、「円安になり保険料が高くなりすぎて、支払が継続できない。」という事態が発生しかねません。
逆に円高が進むと、円ベースでの保険料支払は減りますが、保険金や解約金といった円ベースでの受取は減ることになります。万が一に備えて保険に加入したにも関わらず、不幸にも保険事故が発生した際に(円ベースの)必要保障額を満たせないということも起こりえるのです。「万が一に備える」という保険本来の役割を考えると、困った事態といえます。

こうしたことから、外貨保険に関しては、円ベースでの支払や受取に変動があることを前提に余裕のある金額で加入するのが重要です。何割か増加しても問題ない額を保険料として設定し、何割か変動しても心配のない額で保障額を決定するということです。また、何より本来の外貨建て金融商品の目的でもある通貨分散の機能をメインに考えて検討するようにしましょう。
円建て資産だけですと、円の競争力が衰えた際に資産が目減りしていくことになります。急速な円安が進んでいるなか、輸入品を中心とした物価高で資産の目減りを実感されている方もいらっしゃるかと思います。少子高齢化が進むなか、将来的な円の競争力低下に備える意味で、資産の一部を外貨建て保険で備えることも検討してみてはいかがでしょうか?

監修
平原直樹
ブロードマインド株式会社
マーケティング部ゼネラルマネージャー
ファイナンシャルプランナー

東京都出身。 立教大学社会学部卒業後、東証一部上場のIT企業に勤める傍ら2006年FP資格を取得。 「資産形成」「退職金運用相談」を専門とし、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。その他相談業務やコラムの執筆等幅広く活動。趣味は、海外(貧乏)一人旅。海外40を超える国と地域を訪問。現地のお酒を飲みながらサッカーを見るのが至福の時。旅行中にも現地の銀行金利や不動産価格を欠かさずチェック。

本コラムは、外貨建て保険についてのご案内です。内容を十分に理解したうえで検討すると安心です。

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