資産運用を始めてみたい!そんな時に活用したいのが「税制優遇制度」です。
資産運用で利益が出た場合、原則、利益の約20%に対して課税されます。せっかく利益が出たのにもったいないですよね。「税制優遇制度」をうまく活用すると、運用益を非課税にすることが可能です。
今回は代表的な非課税制度であるNISAとiDeCoに関して解説します。
まずはNISAについて解説します。
「少額投資非課税制度」と言われており、その名の通り一定の金額内での金融商品の売買に関して、「利益がでても非課税」としてくれる制度です。現在ではNISA制度に関しては、以下の3種類があります。
・(一般)NISA
・つみたてNISA
・ジュニアNISA
それぞれを簡単に説明すると、
・(一般)NISA
投資信託や個別株式などが年間120万円まで購入でき、最大5年間の非課税期間があります。120万円と割と大きな非課税枠があるので、積み立てというよりは個別株式などを一括で購入する際に利用されることが多いように思います。
なお、(一般)NISAは、2024年に制度変更が予定されています。
・つみたてNISA
金融庁が指定する投資信託等が対象で、年間40万円まで購入でき、20年間の非課税期間があります。その名の通り、積み立て形式となりますし、20年間と長期間の非課税期間があるので、初心者の方が始めやすいNISA制度といえるでしょう。
・ジュニアNISA
投資信託や個別株式などが年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税期間があります。(一般)NISAのミニ版といった形ですが、既にNISAをしている親や祖父母が未成年の子供や孫のために利用する制度です。
また、(一般)NISAとつみたてNISAは併用できず、どちらか1つを選択する必要があります。前述の通り、個別株式の売買がしたい場合は(一般)NISA一択となります。
初心者の方で、いきなり個別株式から始めるのはハードルが高いということであれば、金融庁指定の投資信託等をつみたて形式で購入できるつみたてNISAが始めやすいかと思います。なお、金融庁指定といっても、元本が保証されているわけではありません。あくまでも投資商品となりますので、その点はご注意ください。
余談ですが、今年は(一般)NISA、来年はつみたてNISAと年ごとに利用するNISA口座を変えることが可能です。そのため、初心者の方はまずはつみたてNISAから初めて、個別株の投資にも興味が出たら、ある年から(一般)NISAに変更するのも良いかと思います。
次にiDeCoについて解説します。
iDeCoは「個人型確定拠出年金」とも呼ばれる通り、個人で利用する「確定拠出年金」です。ご勤務先に退職金制度がある会社員の方は耳にしたことがある方も多いかもしれませんが、「確定拠出年金」とは退職金制度の一つです。
将来の受取退職金が確定される「確定給付年金」に代わり、退職金制度として一般化しつつある従業員自身が退職金を運用して作っていく制度です。
「確定拠出年金」の個人版という事で、iDeCoは個人で準備する退職金制度という事ですね。元々は退職金のないフリーランスの方の制度でしたが、現在では退職金制度のある会社員や公務員の方も利用できるようになりました。
前述の通り、退職金作りのための制度なので、原則60歳まで引き出すことができません。
iDeCoで準備したお金で、住宅購入や教育費といった現役時代の出費に回すことはできないということです。
この点は引き出しが自由なNISAとの大きな違いといえるでしょう。
しかしながら、引き出しの自由度が損なわれる分、NISAよりも優れた税制優遇制度があります。それが「所得控除」という仕組みです。
iDeCoにて拠出した金額は、所得から差し引かれる(控除される)ことになります。結果的に今年の所得税や来年の住民税の納付額が減ることになります。事実上の税金のキャッシュバック制度ともいえるでしょう。
NISA同様iDeCoも運用益が非課税となる制度ですが、この所得控除はNISAにはない仕組みですね。
なお、iDeCoの拠出上限額ですが、勤務形態や勤務先の退職金の有無などで異なります。会社員の方などは、担当部署に確認してみるとよいでしょう。
さて、NISAとiDeCoとは併用可能です。
現役世代の方は、お子様の教育資金等として現役世代に使うお金はNISA、老後の資金準備はiDeCoと併用してみてはいかがでしょうか?
東京都出身。 立教大学社会学部卒業後、東証一部上場のIT企業に勤める傍ら2006年FP資格を取得。 「資産形成」「退職金運用相談」を専門とし、日本全国で年間100件を超えるセミナーを開催。その他相談業務やコラムの執筆等幅広く活動。趣味は、海外(貧乏)一人旅。海外40を超える国と地域を訪問。現地のお酒を飲みながらサッカーを見るのが至福の時。旅行中にも現地の銀行金利や不動産価格を欠かさずチェック。
本コラムは、NISA・iDeCoを利用した資産運用についてのご案内です。内容を十分に理解したうえで検討すると安心です。